VOL.9 乳首までプロフェッショナル

必ず行こうと決めていたパリの老舗のキャバレー、

クレイジーホース。

   

スタイル抜群のマドモアゼルたちのストリップショーが、

モダンでお洒落な店内で、艶めかしくくりひろげられる。

   

ショーの構成はエスプリがきいていて、

エロティックというより、芸術的なセクシーさ全開。

アートなショーを見ているよう。

   

それぞれのシーンでの演出も、

本当にお洒落で、

粋で、

ためいきがでる。

   

出演する女性たちは、

顔もスタイルも粒ぞろいなのはもちろんだが、

バストまでが美しい。

   

ほど良い大きさのバストは、

   

おぉ!乳首の位置まで完璧ではないか。

   

美しいったら、ない。

   

同じ人間とは思えない。

   

美しすぎるボディには、神々しさがただよう。

   

拝みたくなるのは私だけであろうか~。

   

きっとあのマドモアゼルたちは、

自分の身体にストイックなんだろうなぁと思う。

   

プロフェッショナルとは、

   

自分にきびしいことである。

   

余韻に浸りながらホテルに戻り、

シャワーを浴びようとする私の隣で、娘が一言。

   

「ママ、自分の身体みて、気絶せんように気ィつけや~。」と、

意地悪気に、ひひひっ~と笑う。

   

「ふんっ!今日は目閉じてシャワーするもんねーっ放っといてーーー。」

   

と半ばやけになったとたん、

なぜか小腹が減って、

買っておいたクッキーを3枚つまもうとしたけれど、

プロフェッショナルな乳首が目に焼きついていて、

   

1枚だけにした。

   

って、ほんとは 1枚も食べるなよ〜ってことなんですけどねっ。

    

そんな昨年12月のパリでの思い出から、

   

数か月たった今も、

   

現実からの逃避行を 目下継続中の

   

まったく自分にきびしくない

   

奥田浩子であった(苦笑…)。

   

   

VOL.8 癖があるほど、なお愛し

今までどれほどの人の前で教壇にたっただろう。

教える仕事をはじめてから、

かれこれ37年ほどの月日がたち、

講演だと多いときは200名近く、

教室だと10名から30名ほどの人の前で、

美容のノウハウを伝授してきた。

   

しっかり数えたことはなかったが、

おそらく優に、

一万人は超えるだろう。

   

大人の女性や社会人が対象の場合もあるが、

その半分は18~19歳の大学生や専門学校生。

   

そんななかでも、今でも思い出に残るのは、

癖の強い生徒ばかり。

   

少々問題があったり、反抗的だったり、

強がっている生徒にばかり、

なぜだか妙に惹かれる自分がいて、

金八先生のようにはいかないが、

「必ずや、授業に興味をもたせてやるぞ~。」と、

毎回、必死に挑んでいた。

   

初回の授業では、

「どうしてこの学校に来たのか」という動機を尋ねるのが十八番だが、

その生徒は、

まったくやる気が感じられない態度全開で、

「阪急電車にのってきましたーーーーー。」

と太々しく言い放った。

   

「なかなかウイットに富んだ事、

言うやんか。

〇〇さんはシャイな人なんやね、

可愛いね。」

と返すと、

その生徒は不意をつかれたように、

ちょっとうつむいて、はにかんだ。

   

18歳だった彼女も、今は48歳の十分に大人の女性。

もう何十年も会っていないが、

SNSを通して送ってくるメッセージは、

今でもあの時のシャイさがじんわりとにじんでいて、

   

私にとっては、

   

やっぱり、

   

可愛い人のままである。

   

    

   

 

VOL.7 決まらないウエストニッパーの夜

著名な映画監督の住処であったそうな

住宅街の片隅にある

なんとも艶めかしいバー。

   

ちょっとリスキーな人ばかりが集まるそのバーは、

その当時、仕事帰りに立ち寄るには、

最高の場所であった。

   

恋が始まりそうな予感を感じるある日の夜、

少しでも自分をよく見せようと、

タイトなウエストニッパーを着けて、

イケてる感じのカメラマン(…だったと思う)とのデート。

   

興奮と、緊張と、

飲みすぎたアルコールのせいで、

案の定たいそう気分が悪くなった。

   

薄暗い階段をのぼってすぐのトイレで、

「もうあかん~。」と、

はずしたウエストニッパーには

バネのようなものがついていて、

なかなかうまく折りたためない。

   

あせりながら小さいバッグに、

ギュギュっと

無理矢理しまい込む。

   

いい感じに盛り上がり、

次の場所へとバーをでたとたん、

なんと~!

我慢できずに大失態をおかしてしまった。

   

はずかしい~。

申し訳ない~。

けれど、どうすることもで~き~な~い~!!!

   

 月がキレイな深夜の道の片隅で、

まさかの事態にうろたえながら、

仕方なしに私の背中をさする彼。

   

介抱されながら、

今度は上からだけでなく下からも、

「ぶっ、ぶっ、ぶ~~~っ」と、容赦なく夜空に響いた濁音。

(注釈:もちろん音だけです)

   

人は力むといろんなところから、

我慢できない音がでる…。

   

上からと下からの

絶妙なハーモニーとともに、

過ぎ去っていったひとときの恋。

   

今となっては、

その彼の、

顔も名前すらも思い出せない…。

   

けれど、

   

鮮明に覚えているのは、

上からも下からもの大失態にもかかわらず、

   

「今夜は、決めるはずやったのに~(何をやねん!)」

   

と思う29歳の自分が、かなり肉食系だったこと…(笑)

 
そんな自分を

なつかしく思うアラカンの今は、

もちろんさっぱりポン酢系です。

   

えへっ。 

   

   

   

 

VOL.6 スリムでぶ厚い彼女

はじめて会った時は、いかにもツンデレ美大生らしいいでたちであった。

   

ある人の紹介で、私が開催しているプロフェッショナルコースを受講希望だという。

   

その後、こんなにも長い間、一緒に仕事をすることになろうとは、

たぶん二人とも想像していなかっただろう。

   

私の言葉足らずの構想やイメージを、ピピっと感じとることに、

とにかく、長けている人である。

   

休憩につまむお菓子を「なんでもいいから、買ってきて~。」と、お願いすると

「なんでもいいって言われるのが、一番むずかしいですやんか~。」

と、言いながら、

絶対はずしたものを買ってきたことがない。

   

すごい…。

   

昨年で一旦終了したオリジナルのDMは、

彼女なしでは決して続けられなかったことの一つだ。

   

彼女がまだ独身だったころは、深夜にまで及んで、

共に仕事をすることが多かった。

   

二人で「あーでもない、こーでもない。」と意見を交わしながら、

様々なことに挑んできた。

   

今の小社を存続してこられたのは、

彼女の尽力があってこそ。

   

今となっては上下の関係ではない。

   

完璧に、同志である。

   

近頃は、まったりと怒られることも多くなり、

私より私の仕事の仕方や癖を、熟知している節がある。

   

数年前第一子を身ごもり、

お腹が大きくなった彼女は、

私が担当する講演に同行した。

   

「先生、すみません。今日はアシスタントとしての動きが悪くて。」

   

その帰り道、そういう彼女に、

身重な時こそ、庇護を求めることが多いのにも関わらず、

仕事人気質全開の男前すぎるその言葉に、

頭が下がる思いであった。

   

そんな彼女も今は二人の子供に恵まれ、日々奮闘しているが、

私にとって、オーヴルにとって、

なくてはならない存在であるのには変わりない。

   

私よりもはるかに少ないであろう体脂肪で、

昔と変わらないスリムな人であるが、

その懐はふっくらと、ぶ厚い。

   

出会ってから17年、

   

その懐に甘えすぎないよう、

   

これからも同志とした関係でいたいと、

   

切に願う私である。

   

   

   

Vol.5 行かないで 夕日

家の前の道路で、毎日のようにバドミントンをしていた小学生の頃。

   

その頃の我が家の夕食は、決まって18時頃だった。

   

階段をのぼって玄関がある家の庭先から、

母が手招きをする。

   

オレンジ色に染まる夕日と母の手招きは、

私と妹にとって夕食の合図。

   

バドミントンと夕日と、 

一緒に思い出すのは、

大好きだった

鮭のフライとキャベツの千切り。

   

今でも、あたたかく、

せつないオレンジ色の夕日をみると、

   

手招きする母の面影が、

うかんでは消える。

   

   

行かないで 夕日 と、

少女だった頃を思い出す。

   

行かないで 夕日 と、

   

なぜだか 少しだけ、

   

心の中で

   

泣きたくなる。