vol.5 行かないで 夕日
家の前の道路で、毎日のようにバドミントンをしていた小学生の頃。
その頃の我が家の夕食は、決まって18時頃だった。
階段をのぼって玄関がある家の庭先から、
母が手招きをする。
オレンジ色に染まる夕日と母の手招きは、
私と妹にとって夕食の合図。
バドミントンと夕日と、
一緒に思い出すのは、
大好きだった
鮭のフライとキャベツの千切り。
今でも、あたたかく、
せつないオレンジ色の夕日をみると、
手招きする母の面影が、
うかんでは消える。
行かないで 夕日 と、
少女だった頃を思い出す。
行かないで 夕日 と、
なぜだか 少しだけ、
心の中で
泣きたくなる。